2014年06月29日

超お勧めの本★『みんなの空想地図』

超お勧めの本★『みんなの空想地図』


タモリ倶楽部でも話題の「地理人」による、初の単行本。

グーグルマップさながらの空想地図から、都市のコミュニティデザインの魅力に迫る!

誰でもできるフィールドワークガイド。カラー図版多数。


「地理人」こと今和泉隆行による初めての単行本である本書は、ありえないほどリアルな空想都市へと、みなさんをご案内いたします。

こどものころの落書きにはじまる手描き地図から、著者はいかに、グーグルマップさながらの空想地図を描くに至ったのか?

みんならしさがマッピングされた空想地図は、〈多くの人が集まる商業施設や住宅地、人や自転車、車、バスなどの行き交う道路や鉄道などの交通機関、公園や川などが描かれています。

実在しない架空の都市地図ですが、現実的な日常を、見る人がいかようにも想像できるよう、それぞれのディテールをできるだけ細かく描いています〉

(「序──『未日常』のフィールドワーク」より)。



まだ見ぬ日常を手がかりにしつつ「みんなの想像力」を拡張する本書は、全国各地が「あなたの地元」になりうる、誰でもできるフィールドワークガイドブックです。

空前絶後の都市論が体感できる、ソーシャルデザインの世界にようこそ!


地図好きの「高低差マニア」や、電車やバスの路線図を眺めたりするのが好きな人はもちろん、町の中の看板やロゴマークや人の流れを観察するのが好きな人におすすめです。

カラー図版多数収録。


タモリ倶楽部で放送された『地図マニアの最終形 ひとり国土地理院大集合!』には驚かされました。

大規模な都市の精密な地図を、B0を2枚ぐらい並べるほどの大きさで描いている人が3人も登場。共通していたのは、3人とも若く、しかも小学校低学年ぐらいから架空地図を描きはじめていること。

また、2人は最初に描いた街を引きずっていたことも信じられませんでした。

さらに一驚を喫したのは、子どもの頃からの趣味なのに、最初から洗練されていたこと。

ごく普通にいい。利休か!と思うほど。

「そういえば都市計画はダ・ヴィンチが最もやりたかった事だ」と気づかせてもらいました。

趣味の王様、至高の仕事なのかもしれない、と。


 
この本では、番組で詳しく見せてもらった地図の背景まで教えてもらった気がします。

タモリ倶楽部でトップバッターとして登場した方は、子ども頃、父親のクルマに乗って行くドライブが大好きで、最初は道路地図を描いていたというんですが、今和泉さんも、父親がよく連れて行ってくれた「郊外行きのバスに乗り、終点まで行って帰ってくる」という純粋バス・トリップが好きだったそうです。

空想地図作家の方々はこうした小旅行が週末の楽しみという新興住宅地に育った感じ。

アメリカの子どもたちも昔は父親のクルマに乗せられて、ドライブに行って外でランチを食べるぐらいしか休日の過ごし方がなかったというのを聞いたことがあるんですが、日本でもモータリゼーションが進んで、マイカーやバスでどこかに行くことで時間をうっちゃるという家族の姿というのが80年代以降は増えていったのかな、なんてことも考えさせられました。

 
今和泉さんはアイソメトリック方眼紙を使って立体化するという試みもしていますが(p.30)、描いている中村市の架空トリップなんかを延々と描いているあたりも含めて、最終的には自分で描いた地図を立体に立ち上げ、その街をバスなり、クルマなりからの視点で見物するというところまでいったりして。

とにかく凄いです。









posted by ホーライ at 05:37| Comment(0) | TrackBack(0) | より楽しく生きるために | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月25日

お勧めの本★『論文捏造』!!

お勧めの本★『論文捏造』


科学の殿堂・ベル研究所の、若きカリスマ、ヘンドリック・シェーン。

彼は超電導の分野でノーベル賞に最も近いといわれた。

しかし2002年、論文捏造が発覚。

『サイエンス』『ネイチャー』等の科学誌をはじめ、なぜ彼の不正に気がつかなかったのか? 

欧米での現地取材、当事者のスクープ証言等によって、現代の科学界の構造に迫る。

なお、本書は国内外、数多くのテレビ番組コンクールで受賞を果たしたNHK番組を下に書き下ろされたものである。

【本書は科学ジャーナリスト大賞2007を受賞いたしました】



本書の元になったNHK特集番組『史上空前の論文捏造』は、次の4つの賞を受賞するなど、話題作でした。

(1)バンフ・テレビ祭 最優秀賞

(2)アメリカ国際フィルム・ビデオ祭クリエイティブ・エクセレンス賞

(3)アルジャジーラ国際テレビ番組制作コンクール銅賞(調査リポート部門)

(4)科学技術映像祭・文部科学大臣賞


本書は、気鋭の”看板ディレクター”が番組では紹介することのできなかった莫大な量に上る取材内容を詳細にひもときながら、事件の真相やそこに潜む問題性をより深く考察するものです。



最近のSTAP細胞論文問題で発覚したのとまったく同じ構造だというのが面白いところ。

論文の共著者は自分の担当部分以外無頓着でチェックもしない。

ネイチャーやサイエンスなど論文審査する側も、そもそも研究機関が内部チェックできなかったものを、外部の機関が査読で見つけられるわけがない、と匙を投げる。

性善説に立ち、研究者を疑わないので、他の殆どの科学者は再現実験が出来なくても、特許に絡んで明かされない秘密があるのでは、とまで考える。

しかし、少数の疑問をもった研究者によって論文でのデータやグラフの使い廻しが指摘され、調査によって捏造が発覚。実験ノートや生データ、実験サンプルもきちんと残っておらず、そもそも実験が実際に行われていたかまで現在では疑問とされる。


小保方さんは現代のヘンドリック・シェーンになってしまうんでしょうか?








posted by ホーライ at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学を題材とした小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月23日

●お勧めの本★『0葬 ──あっさり死ぬ』島田 裕巳著

●お勧めの本★『0葬 ──あっさり死ぬ』島田 裕巳著


ベストセラー『葬式は、要らない』から4年。

時代は進み、いまや年間死者数160万人時代、到来。

そんななかで、自身の葬式や墓をどうするかで悩む日本人が ますます急増中。

そこで、自然葬(散骨)を推進する 「葬送の自由をすすめる会」の会長を務める著者が、あっさり死ぬためのマイ自然葬、 そして死の究極の形である「0(ゼロ)葬」を提唱する。

「葬式も墓も要らない」という人のための、 迷惑をかけない死に方入門。

自然葬を超えた「0(ゼロ)葬」で、 悩める日本人の“死後の不安"は一挙解消!

●団塊の世代が、死の“適齢期"に。

●中江兆民や夏目漱石も、自身の葬式や墓は要らないと主張した。

●人が一人死ぬと、かかる費用は葬式と墓を合わせて平均500万円以上。

●一方、病院から火葬場に直行する「直葬」は、いまや関東地方では約4分の1に。

●葬儀は業者に頼らずできる。たとえば、棺桶も通販で売っている。

●「マイ自然葬」とは、業者に頼らずに自身で散骨を行なうこと。

●そして究極の葬り方として、火葬場で遺族が遺骨を引き取らない。それが「0(ゼロ)葬」。

……ほか。




今の日本では、人が一人死ぬと、かかる費用は葬式と墓を合わせて平均500万円以上だそうです。

日本の平均的な葬儀費用は、231万円。

1990年代の調査では、アメリカが44万4000円、イギリス12万3000円、ドイツ19万8000円だそうです。

1995年東京都生活文化局の調査によると、寺への支払額の平均は63万(読経料と戒名料)、100万円を超える額を支払っているケースが20パーセントを超えているそうです。


何となく思い込みで、家族が死んだら葬儀社に連絡して、お寺で戒名を貰って…

みたいないわゆる「常識」があったのですが、本書を読むと、全く必要性がないのだと気づかせてくれます。

棺桶はネットで買えるし、戒名は自分でつけられるし、お墓に入らなくても「散骨」と言う手段もあるし…

少なくとも自分の死に関してはお金をかけたくないなと思いました。






0葬 あっさり死ぬ / 島田裕巳 【単行本】

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価格:1,296円(税込、送料別)



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●お勧めの本★『誰にも死ぬという任務がある』曽野綾子著

とかく「生」ばかりが声高に語られる世で、「生老病死」を深く見据えてきたこの人が説く「死の準備」。

※老人は自己責任で自然死を選ぶべき時代が来ている

※この世に醜い未練を残さないこと

※晩年はひっそり生きて、静かに死ぬ

※遺品の始末をしやすいように、ものは捨てる

※余命の告知は、患者へのよい手助け

※ものごとは軽く、自分の死も軽く見る等々、人生の締めくくり方の知恵がここにある。



あたりまえのことであるが、平均寿命近くなり考えさせる。

ああ!そうだったか、なるほど、そうゆうことかなどなど・・
 
学ばないものは、人のせいにする。学ぶことを知っているものは、

誰のせいにもしないと何かでみたことがある。
 
子にたよらず、自立した後期高齢者として生活リズムを整えいきたい。









ラベル:曽野綾子
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2014年06月22日

●お勧めの本★『象の墓場』楡 周平著

まさにエクセレントカンパニー。

1ドルで70セントの高収益を得るといわれる世界最大のフィルム会社、ソアラ社。

パソコンがまだ高嶺の花の1992年、働き盛りのソアラ・ジャパン社員、最上栄介は新事業のデジタル製品の販売戦略担当を命じられる。

大企業ゆえのジレンマ。全く読めぬ消費者のニーズ。

急速に一般化されるデジタル技術。次々と降りかかる難問に最上は立ち向かう―。



今では当たり前となっているデジタルカメラ。

その技術の進歩がもたらす企業への影響というものが、世界的企業のフィルム会社に勤務する若手社員を中心にリアリティーに書かれています。

小説という観点からは大きな事件や派手な出来事が起こる訳ではないので物足りなさはあるかもしれません。

ただ、本来経済書に書かれるようなフィルムからデジタルへ猛スピードで進化している様が、小説で読むことが出来ます。

特に技術が確立され堅固なビジネスモデルで稼ぎまくっている優良企業が、その既存の事業から新規の事業へ軸足を移していくのが如何に困難であるかを思い知らされます。

1992年から2004年までの事が語られますが、その時々の時代描写が懐かしい。消費者が技術の進歩を享受している裏側には、企業の苦悩があったことに改めて気付かされます。

また、作中に出来る社員の考え方が述べられているのも、外資系企業に在籍していた作者らしいと感じました。









posted by ホーライ at 09:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月19日

●お勧めの本★世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え

●お勧めの本★世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え: 世界の第一人者100人が100の質問に答える


科学、哲学、社会、スポーツなど、子どもたちが投げかけた身近な疑問に、ドーキンス、チョムスキーなどの世界的な第一人者はどう答えたのか? 世界18カ国で刊行の珠玉の回答集!

●まだだれも見たことのない動物が、どこかにいるの? ----デヴィッド・アッテンボロー卿(動物学者、植物学者)

●ミミズを食べても大丈夫? ----ベア・グリルス(冒険家、サバイバルの達人)

●どうしていつも大人の言うことをきかなくちゃいけないの? ----ミランダ・ハート(コメディアン)

●夢はどんなふうに生まれるの? ----アラン・ド・ボトン(哲学者)

●世界を歩いて一周するには、どれくらい時間がかかる? ----ロージー・スウェイル=ポープ(走って世界一周した女性冒険家)

●どうして音楽があるの? ----ジャーヴィス・コッカー(ミュージシャン)

●エイリアンはいるの? ----セス・ショスタク博士(天文学者)

●サルはどうしてバナナが好きなの? ----ダニエル・シモンズ(ロンドン動物園飼育員)

●宇宙はなぜあんなにキラキラしているの? ----マーティン・リース(天文学者、英国王室天文官)

●動物はどうしてわたしたちみたいに話ができないの? ----ノーム・チョムスキー(言語学者、哲学者)

●惑星はなぜ丸いの? ----クリストファー・ライリー教授(サイエンスライター、コメンテーター)

●ハチはハチを刺せる? ----ジョージ・マクギャヴィン博士(昆虫学者)

●スポーツで負けてばかりのとき、どうすればやる気がでる? ----ケリー・ホームズ(陸上競技選手、オリンピック金メダリスト)

●なぜ戦争が起きるの? ----アレックス・クロフォード(戦場記者)

●どうして意地悪なんかするのかな? ----オリヴァー・ジェームズ博士(心理学者)

●いろんな肌の色をした人がいるのはなぜ? ----カール・ジンマー(サイエンスライター)

●世界じゅうでいちばん絶滅しそうな動物は? ----マーク・カーワーディン(動物学者)

●女の人には赤ちゃんが生まれて男の人に生まれないのはなぜ? ----サラ・ジャーヴィス博士(医師、コメンテーター)

●人はどうして永遠に生きていられないの? ----リチャード・ホロウェイ(作家、コメンテーター)

●わたしたちはみんな親戚? ----リチャード・ドーキンス博士(進化生物学者)

●時間は、はやくすぎてほしいときには、なぜゆっくりすぎるの? ----クラウディア・ハモンド(心理学者、ラジオ番組のプレゼンター)

●炭酸の飲みもののなかに、泡はどうやってはいるの? ----スティーヴ・モールド(科学番組コメンテーター)

●水にさわると、どうしてぬれている感じがするの? ----ロジャー・ハイフィールド(国立科学産業博物館の広報担当部長)

●本を書く人は、どうやってアイデアを思いつくの? ----フィリップ・プルマン(作家)

●エジプトのピラミッドはどうやって作った? ----ジョイス・ティルズリー博士(エジプト学者)

●食べものも水もなしにボートに乗っているとしたら、どうすればいい? ----ロズ・サベージ(手漕ぎボートで三つの大洋を単独横断した女性)

●わたしのネコはどうしていつも家に帰る道がわかるの? ----ルパート・シェルドレイク博士(生物学者、作家)

●神様ってだれ?
----ジュリアン・バジーニ(哲学者)
----メグ・ローゾフ(作家)
----フランシス・スパフォード(作家)

●いつかは過去に戻れるようになる? ----ジョン・グリビン博士(サイエンスライター、SF作家)

●ウシが一年間おならをがまんして、大きいのを一発したら、宇宙まで飛んでいける? ----メアリー・ローチ(サイエンスライター)

●どんなふうに恋に落ちるの?
----ジャネット・ウィンターソン(作家)
----デヴィッド・ニコルズ(作家)
----ロビン・ダンバー教授(進化心理学者)

●わたしがいつも、きょうだいげんかばかりするのはなぜ? ----タニア・バイロン教授(臨床心理学者)

などなど、素朴な100の質問に、世界の第一人者100人が答えます!



イギリス各地の小学生による100の質問に、第一線で活躍する専門家たちが真正面から回答した本。

子供の質問は、自分の子供に聞かれたらヘドモドしそうな難問ぞろい。

専門家たちの回答は、フレンドリーでわかりやすく、しかも誠実である。


この本をプレゼントされた子供は、読み進んでいくうちに、わたしたちが生きている地球、生物の進化、人間社会、わたしたちの体、その他いろいろなことについての理解を深めるだろう。

未解決の分野にもいつかは挑戦してみたい、と思うようになるだろう。
 


子供だけでなく、大人にとっても色々な意味で有益である。
 
わたしはメカ音痴なのだが、「自動車はどうやって動くの?」に対する、ロンドン科学博物館の学芸員の短い解説を読んだおかげで、ガソリン自動車のメカニズムがスルリとわかった。
 
「ウシが一年間おならをがまんして、大きいのを一発したら、宇宙まで飛んで行ける?」という秀抜な質問には、科学者とジャーナリストがタッグを組み、計算結果を示してくれているので、勉強になった。
 
「サルはどうしてバナナが好きなの?」に対するロンドン動物園の飼育員の説明を読んだら、バナナをほおばりながら東奔西走する日本の国会議員の先生たちの姿が脳裏に浮かび、その夜はシュールな夢を見た。
 
本書は、楽しいイラストつきだから、大人の絵本のかわりにもなる。
 
100人以上の回答者の口調を訳し分けながらも、さらりとした訳文のリズムが心地よい。
 
クリスマスプレゼントに、お年玉に、オススメの一冊である。









posted by ホーライ at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | より楽しく生きるために | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月18日

脅威のお勧めの小説『ハサミ男』

●お勧めの小説『ハサミ男』

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。

3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。

自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。

「ハサミ男」は調査をはじめる。

精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!

【2005年公開映画「ハサミ男」原作】(講談社文庫)


同じどんでん返し系で比較されることの多い「殺戮にいたる病」に小説としての物足りなさを感じた人向けか?

随所に遊び心を織り交ぜてニヤリともさせてくれる、非常に濃い内容を持った(と言っても読み難くはないし、重くもない)優れたミステリーだと思います。

ラスト数行で唖然としてしまうという意味でのどんでん返し度は「殺戮〜」や「イニシエーション・ラブ」が上ですが、なかなかこちらもビックリですね!

作者のミス・リードに見事に嵌まったままでした。(その辺は「葉桜の季節に君を想うということ」に近いかもです)

たいへん面白かったです!!



犯罪者の脳波が普通の人に比べて違っていることはかなり前から知られていることのようです。

ですが、もちろんそれだけで、犯罪者と正常者に明確な境界線を引くことはできません。

この本の主人公は一種の快楽殺人者なのですが、本文に『君は自分自身に「なぜ」とは問わない。問うのは「どうやって」かだけだ。』というものがあります。

全体を通して、2重人格気味の主人公の心理がよく描けていると思います。

主人公は女子高生を殺したあと、喉にはさみを突き立てるという連続殺人犯です。

しかし、3人目に狙っていた女子高生が、別の誰かに同じ手口で殺されてしまいます。

ここから、主人公の犯人探しへの推理が始まりますが…、最後におおきなどんでん返しが待っています。


犯行自体は重苦しいですがあちこちにユーモアの散りばめられた推理ショーがそれを打ち消してくれます。

読んで損はないと思いますよ。









posted by ホーライ at 20:53| Comment(1) | TrackBack(0) | SF・ミステリィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月15日

お勧めの小説『殺戮にいたる病』

●お勧めの小説『殺戮にいたる病』


永遠の愛をつかみたいと男は願った―。

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。

犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。

冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。



惨殺シーンは気分が悪くなるほど残酷、少し悪趣味かなと思った。

しかし、読み易く想像を膨らませる見事な表現力はすごいです。

読み始めに、エピローグで死んだ人は誰なんだろうと考えました。

読み進める内にその人の像は頻繁に変わっていくと思います。

登場人物が少ないので、結末は限られるんじゃないかと考えてました。

しかしラストに近づくにつれ、胃がキリキリと痛むような緊張感を味わいます。

先の展開が全く読めない、躍動感を感じる怒涛の展開。

そしてラストのページを読んで唖然としました。

はぁ?どういう事だ、と。少し考えて、俺は騙されていたと気付きました。

また読み返さねばと思わせる衝撃のラストです。

こんな騙しが用意されてるとは…。

途中で気付いた人は天才です。

全部読んでも混乱しています。なので、もう一度しっかり読み直さねばという気持ちにさせられます。確かに不快な描写もありますが、最後に読んで良かったと思える作品です。








ラベル:我孫子武丸
posted by ホーライ at 16:55| Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ミステリィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お勧めの小説『阪急電車』

●お勧めの小説『阪急電車』


他愛とないば他愛のない話だ。

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。

片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。

乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。

恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。


兵庫県の西宮市と宝塚市を結ぶ、阪急電鉄の支線を舞台にした、オムニバス形式の小説。

最初のエピソードは、図書館で同じ本を借りようとしたことをきっかけに男女が出会う、という超古典的な話。

まずは読者をほのぼのさせながら、次の章では、昔の恋人達への当てつけのためにウェディングドレス姿で披露宴に出席する女性を描いた、少し刺のある話が展開される。

なかなか面白く読める小説だった。

見事な舞台設定と場面切替え。

読みやすく、視覚に訴える描写。

わずか8駅しかない阪急電鉄今津線。

ひと駅ごとにニアミスを重ねながら、巧みに主役が交替してゆく。



まずは、往路。

宝塚から西宮北口行き。

ちょっとしたきっかけの男女の出会い。

冴えない友人に婚約者を寝獲られた復讐に燃える美女。

小さい孫を連れている夫に先立たれた老婦人。

乱暴な男に必死に連れ添う女子学生。

ちょっと背伸びしている騒がしい女子高校生たち。

彼女いない歴イコール年齢と彼氏いない歴イコール年齢の2人。



そして折り返し。

しかし、時は流れて半年後。

そしてまた、ひと駅ごとに主役達が切り替わる。

ブランドもののカバンを持つ騒がしいオバサン軍団の失礼な席取り合戦を皮切りに、往路で登場した人たちのその後のドラマが次々展開する。



ドレス。途中下車。燕。携帯電話。ランドセル。ミニュチュア・ダックスフンド。日本酒。


恋。嫉妬。喜び。強がり。寂しさ。涙。そして笑顔。


それぞれの物語が、沿線独自の雰囲気に包まれて、巧みにつながってひとつの世界が形成される。

女流作家らしい細やかな心理描写。

最初の女性の名前が復路の宝塚南口まで伏せられていたり、ちょっとした工夫もいくつかある。


もちろん、これはあくまでお話。

こんな都合の良い出会いばかりありえないだろうなんて、野暮なことは言いっこなし。

阪急今津線に幸あれ。









posted by ホーライ at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | より楽しく生きるために | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月11日

お勧めの小説『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

●お勧めの小説『キャッチャー・イン・ザ・ライ』


さあ、ホールデンの声に耳を澄ませてください。

村上春樹の新しい訳でお届けする新世代の『ライ麦畑でつかまえて』

J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として40年ぶりに生まれ変わりました。

ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。

雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。

さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。



「古典は口に苦い」。

先輩や親や教師からどんなに薦められても、文章は読みづらいし、物語も当然のことながら今から見れば古くさい。

そんなわけで、つい、最近出たミステリーや恋愛小説に走ってしまう。

でも、ここに、50年も前に出たのに、読みにくいどころか実に生き生きとした快調なテンポで語られ、洒落ていて、ユーモアもたっぷり、しかも今の我々につよく訴えかけてくる、大げさに言えば読んだ人間の一生の友になるような本がある。

これまで『ライ麦畑でつかまえて』(野崎孝訳)というタイトルで長いあいだに日本でも二百万人に近い読者に愛されてきたアメリカの青春小説だ。



主人公のホールデンは有名高校の生徒で、作文だけは誰にも負けないが、あとの学科はからきしダメな16歳の少年。

彼は自分の学校の先生たちや同級生や何もかもにうんざりしている。

物語は彼が成績不良で退学になる直前の冬、自分から学校をおん出るところから始まる。

ニューヨークの街をさまよいながら彼は昔の先生や友人やガールフレンドに再会していくが……




僕が今までに本のタイトルだけ見て、中身は一切知らずに買って、まったく後悔しなかった本が3冊ある。


●庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」


●サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」


●村上春樹の「風の歌を聴け」


これだから、読書は止められない。














posted by ホーライ at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | より楽しく生きるために | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする