宇宙に行った宇宙飛行士を立花隆がインタビューしたものを集めてある。
これこそが、「今」「現代」でないとできなかった本です。
その今だからこそ、現代だからこそ考えられる人生論とも言える。
宇宙から地球を眺めて、あるいは月の上を歩いて宇宙と地球を眺めてきた宇宙飛行士は決まって「精神の変化」が生じるという。
宇宙飛行士の中に、宇宙から帰ったあと宗教家になった人が何人かあることはよく知られている。
このことから立花隆は、アメリカの宇宙飛行士達に直接インタビューし、彼らが宇宙においてどのような精神的な体験をし、その体験が彼らをどう変えたかを聞き出した。
宇宙飛行士のほとんど誰もが、彼らの人生感を大きく変えるほどの、精神的に深い体験をしたにもかかわらず、お互いにそれを話題にしたことがなかったという。
またNASAでも、宇宙飛行士から徹底的なヒヤリングを行うが、彼らの精神的な体験についてはほとんど調査が行われてこなかった。
彼らはそのことを人に伝えたかったのだが、聞いてくれる人がいなかったために、話す機会がなかったのである。
だから立花のインタビューは、これまでヴェールに包まれていた宇宙体験の意味を初めて明かすことになった。
このことの意味は大きい。
多くの飛行士は、地球の美しさと宇宙の闇の深さに、大きな衝撃を受け、地球が宇宙の奇跡として存在しており、そこに人知を超えたある意思がはたらいていることを感じている。
中でもエド・ミッチェルは、宇宙において人間存在についての根源的な問いに対する答えを一瞬の内に得た。
その答えとは、地球においてブッダやイエスなどを初めとする宗教的な天才達が、長い修行を通して達した悟りの内容に肉薄している。
このことから宇宙体験が宗教体験と同質のものであることが分かる。
多くの宇宙飛行士がそういった「悟り」を語るのだが、その言葉は宇宙飛行士というある意味「最先端の科学者」が語る宗教観、となるので、とても強烈だ。
実体験に基づいているだけにね。
宗教とは何か?、人間存在と人生の意味とは何か? 宇宙の成り立ちとは? について的確に答えてくれる(あるいは考えさせてくれる)一冊である。
司馬遼太郎も本書を愛読書したという。
忙しいことにかまけて、自分について考えたことが無い人こそ、本書を読んで「宇宙時代の」人生を考えてみたらどうだろう?
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