2011年02月15日

人生を変えたおすすめの本、僕と人間を外れてみませんか?「こころ」夏目漱石(著)

高校時代の現国の教科書で一部を読んだことがある人が多いのでないだろうか?
僕もそうだ。

高校2年の夏、「こころ」の第3部だけ、国語の教科書で読み、興味を持ったので、文庫本を買い通学列車の中でひとり読んでいた。

この「こころ」と中島敦の「山月記」だけを3年間習う高校もある、と当時の国語の先生に聞いて、「ふ〜〜ん。そんなに難解な小説なの?」と思った。

また、その国語の先生は「日本文学において●●の場面は数限りなく出ているが、この『こころ』の●●の場面を超えた小説はない」と断言していた。

この「●●」に入る漢字二文字については、実際に読んでみて、いったい、どの場面なのかを、想像してみよう。


読めば分かるが、文章自体は全然、難解ではない。

ストーリーも単純だ。

しかし、文章が簡単でストーリーも単純だからと言って、「つまらない小説」かと言うと、そんなことはない。

ここが実はこの小説のすごいところだ。
つまり、日本語を多少、読めさえすれば、人間の「こころ」を読むことができ、さらに、それを考えることができるのだ。

日本人として生まれたなら、また、日本語を読めるというのなら、この夏目漱石の「こころ」を死ぬ前に読んでおいたほうがいいと強く推薦する。


人間はどうして弱いのか。
人間は「いけない」とわかっていても、どうしてその「いけない」ことに陥るのか。
そして、そうなった時に、人間はどうふるまうのがいいのか。

この物語を読んで、僕のその後の人生を決定的に変えたのは、「人を愛するとはどういうことなのか」ということだ。
もし、この「こころ」さえ読まなければ、その後の僕の人生は穏やかで、心安まる人生を送ったはずなのに、と思う。

でもね、人間の人生なんて、そんなものさ。

一冊の本に出会い、ひとりの人に出会う。
こんな簡単なことで、人生がガラリと変わるのだ。

「こころ」のストーリーはきっとネットで調べれば概略は分かると思うが、そんなこと知らずに読んだほうが断然、おもしろい。

さらに、ストーリーを知っているからと言って、また、既に読んだことがあると言って、この物語を再読しない、というのもつまらない。

高校時代に読んだ時と、50年の月日を過ごしたあとで読むと、考えることは「当然」違う。
それを自分の「成長」(あるいは退廃)と感じることができる。

人生を変えてもいいと思っている高校生と、今さら、変わらないよと思っている中年の方におすすめの名作です。

380円で、人生が変わってしまう。

怖いと言えば怖い、ことだ。


こころ (新潮文庫)




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ラベル:夏目漱石
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