死ぬ日を待ち続ける。
それだけが私の希望――。
かりそめに生きることは、もうできない。
選んだのは「死」。
一方で、不思議な自殺の連鎖を調べる記者。
そこに至るただひとつの繋がり。
「生」の意味を現代に投げかける、文句なしの最高傑作!
誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。
死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。
「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」
それは決して悪い取り引きではないように思われた――。
「この先、このまま生きていっても、きっと何も変わらないだろう」と、自分の人生に絶望し、自殺することに決めた女性。
死を決意した彼女の一年間を追っていく話をAとすると、複数の自殺者の死の特異な共通点に気がつき、その真相を調査していく週刊誌記者の話はB。
AとB、今から一年と数ヶ月前に話がはじまる前者と、ある共通点が見受けられる自殺が続いた現在から話がはじまる後者が交錯する形で、ストーリーが進んでいくミステリ。
終盤に向かうに連れてぐんぐん面白くなっていき、目が離せなくなってしまう。
一年後に自殺することを心の拠り所にして生きていく女性の変貌、生き生きとした人間らしさを取り戻していく姿、その変化が魅力的に描き出されている。
そこが、まず素晴らしい。
一年間の暇つぶしのためにとボランティアすることになった養護施設で、子どもたちやスタッフと過ごしていく中、彼女は変わっていく。
終盤、彼女の心境と行動の変化にすっかり魅せられ、胸にこみ上げてくるものがある。
さらに、ある場面で、ある絵柄ががらりと変わり、「えっ!!??」と仰天させられる。
全く念頭になかったので、これにはすっかりダマされてしまった。
背負い投げ一本、てな感じですかね。
著者に投げ飛ばされてから、あわてて前の頁に戻って読み返しまして、「ああ、不覚。ああ、錯覚」と、自分の頭をこつんと叩いた次第。
ミステリー小説とも言えるが、ミステリーの境地を超えた「生」と言うテーマが、根底に流れている。
「死」というテーマを全面に押し出し「生」の意味を考える。
すばらしい構成になっている。
文体も平易で、読みやすく、いっきに読める(と言うか、目が離せなくなる)。
人間、いつ死ぬのかわからないからこそ、今日という日を一生懸命生き らるのかもしれない。
本を閉じて、ふとそう感じた。
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