2014年04月04日

『火の鳥』シリーズは課題図書だ

遠い遠い昔から、遥かなる未来まで。

不老不死、不滅の象徴である火の鳥を巡るエピソードを描く大河ドラマならぬ大河マンガ。

メッセージ性の強いものから娯楽性の強いものまで、作者がライフワークとしていたのもうなずける、とても充実した内容だ。


いつの時代も変わらない人間の欲望の醜さと愚かさ、科学万能主義への警鐘、人類の行き着く先への不安などなど、他の手塚作品でもよく扱われているものが、本作でも強く読み取れる。

が、なによりも、作者の大きな想像力・創造力としっかりとした構成のもと、マンガの楽しさおもしろさが十二分に味わえる傑作だ。


女帝「卑弥呼」から「宇宙の片隅の惑星にころがるロボット」、「ロボットに恋する青年」、「猿田彦神話」、「生命誕生の謎」「神とは?」・・・・など等。

古代から未来、ミクロからマクロまで時間も空間も飛び越えながら、ストーリーは進む。

結局、手塚治虫は「人生とは何か」「人間とは何か」「宇宙とは何か」という人類が永遠に持ち続けている疑問を描き続けていた。

それは、「鉄腕アトム」だろうと「ブラック・ジャック」「アドルフに告ぐ」「陽だまりの樹」と漫画のタイトルは変わっても、テーマは一貫していた。

僕は、この火の鳥シリーズで、人生を応援してもらった。

火の鳥が「生きるのよ。」と後ろから囁いてくれる。


漫画が市民権を得て、学校の図書館に置かれるところまで持っていった「漫画の神様」の手塚治虫に敬意を表する。



この後「アトム編」を描く予定だったそうですが、果たされないままだったのが、なんとも悔やまれます。



火の鳥 (1) (角川文庫)





posted by ホーライ at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生を考える本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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