共にマッド・サイエンティストと称される夢想家である。
ある日、番匠谷が大泉のもとに古墳からの奇妙な出土品を持参した。
それは、永遠に砂が落ち続ける砂時計。
上部と下部との間には異次元空間が?
一行は再び発掘現場へ調査に赴くが、未盗掘の玄室には何もなく、羨道の先は行きどまりになっていた…。
SF界の巨匠が放つ超時空小説。
「宇宙」とは、「時の流れ」とは何かを問うSFの傑作。
時間ものSF。
ひとことで言えばそう言える。
しかし、このイマジネーションの大きさはどうだ!
こんな作品は若いときしか書けまい。
「日本沈没」からも40年近くが経とうとしている。
この作品が書かれた当時、科学の概念がどの程度だったのか、未来の展望がどのようだったのか、詳しくは知らない。
しかし、タイム・マシンの実現化は、確実に夢の中にあった。
現在では夢さえも見られない。
そんな時代だったからこそ、本作のイメージを著者が描くことができたのかも知れない。
「人類の進歩と調和」は夢と消えた。
著者の思い描いた未来に、我々は立っていないのかもしれない。
だからこそ、本作を今読む意味があると思う。
個人的には、最後に老人ふたりが静かに余生を送るところが好きだ。
彼女のそばに彼はいたのだろうか。
一生のうち、ピンポイントにでも彼は彼女を見に現れたのだろうか。
彼女の一生を思うと、読んでいて涙が浮かんでくる。
光瀬「百億の昼と〜」と並び称される作品である。
質・量ともに甲乙つけがたいが、私はこっちが好きだ。
広瀬「マイナス・ゼロ」を読んだときにも同じような感動を覚えた。
時間というものは、なぜか郷愁をさそうものだ。
おそらく、実際には二度と帰ってこないものだからであろう。
我々は、過去は振り返ることしかできないのであるから。
人間の世界を超えた奥の院にある世界を体験できる凄まじい作品。
小松左京以外の人には書けないだろう。
千年残したい名作。
非の打ち所がないとは言いませんが(特に一つのクライマックスである流れの果ての描写がはしょりすぎて甘い)エネルギッシュでドラマチックな作品でした。
前菜(プロローグ)、メインディッシュ(1-10章)、デザート(エピローグ)それぞれが味わい深く描き分けられさながらフルコース・ディナー。
そこらの作品とは食べごたえ満足感が違います。
壮大な宇宙に比べれば人間の一生なんてちっぽけなものだよ、とはならない。
1個の人間の短い一生と宇宙の歴史が最後の最後に等価に並べられる構成は圧巻で感動的です。
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