そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。
あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。
どんでん返し系の作品は多々あれど、この作品の結末の結び方、悪くない。
いいのかよそれで! って突っ込みを入れつつも、最後に絶望じゃなくて希望が残るミステリーは心地よい。
ストーリーはものすごく、残酷だったりやるせなかったりするのに、最後はなんだかんだ、まぁそれでいいか、って思わせる、
作者の楽観的というかポジティブさが感じられて好ましい。
本作品の「大仕掛け」には、まず万人がダマされるであろう。
しかし、評価すべきは「大仕掛け」以外の部分だと思う。
この仕掛けがなくても本作品はハードボイルド作品として、十分に楽しめると思う。
タイトルにある「葉桜」の意味するところ---読んでいる最中には特段気に留めることもなく、せいぜい気取った書名だなという程度にしか思いが至らなかったのです---が最後に明かされて、書を閉じた後に自身の来し方と行く末に思いを馳せずにはいられません。
私はどんな「葉桜」の季節を迎えるのだろうか。
本書の中に自身の今の姿や今後の人生における指針を見出したとき、読書の楽しみはこの上もなく高まるものです。
本書はまさにそんな喜びをいっとき与えてくれた愉快な書といえる一冊です。
やられた。騙された。
たっぷりと張られた伏線をこうも見事に無視してしまっていたとは……。
著者の叙述による見事なまでのミスリード。
やられた。
そして快感。
だが、この物語で良かったのはトリッキーな部分だけではない。
最後の‘二人’の会話。
この深さ、全てを達観した上で尚かつ前向きに考え諭す言葉言葉の素晴らしさ。
生きるということに明確な力をにくれる名作!
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