この小説はハードボイルド界ではそれ程の金字塔である。
もし本格派ミステリが好きな人がこの小説を読んだら拍子抜けしてしまうかもしれない。
特にすごいトリックがあるわけでもないし、背景に過去の怨念から来る謎があるわけでもない。
どのレビューでも書かれているがこの小説の魅力はやはり単純に文章の素晴らしさにある。
人物、情景の描写とマーロウのワイズ・クラック、これにつきる。
特に最初にテリー・レノックスという人間をロールスロイス・シルヴァーレイス一つで端的にあらわすシーンと、マーロウとレノックスがギムレットを飲みあうバーの描写は秀逸。
生涯忘れられない情景になります。
ワイズ・クラックについては他のレビューで多く取り上げられているのでそちらを参考にしてください。
いつか使いたいセリフのオンパレードです。
この小説は清水俊二さんという人が訳されています。
この方は確か戸田奈津子さんの師匠で翻訳家の大家みたいな人です。
訳は大変素晴らしく、日本人にとってはこの人なくしてマーロウなしと言ってもいいくらいですが、大変失礼なんですけど実は原著と比べると仮定法などでわかりにくい部分(当然僕にもわかりませんけど)を少々飛ばしてたりもするので出来ればこの小説を読み終わったら原著にもがんばって挑戦してほしいです。
ビートルズの歌詞あたりで鍛えれば、なんとか読めるようになりますので是非がんばってほしいです。
それ程文章が素晴らしい作品なんです。
村上春樹の訳本もある。
どちらも甲乙つけがたい。
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