保険会社に勤める異なるタイプの女性たち。
結婚、仕事、生き方に迷い、挫折を経験しながらも、たくましく幸せを求めてゆく。
現代OL道を生き生きと描く、第117回直木賞受賞作。
とにかく最初から話に引きずり込まれました。
登場する5人の女性のキャラクターが個性的で、それぞれの欠点と矛盾点を指摘したくなる一方で、誰もが一生懸命に生きている姿に共感し、思わず応援したくなります。
読み終わった後(何日もたってから)、架空の物語であるにも関らず、みんな元気でやってるかな、順調に生活しているのかな、とふと思うことがあります。
登場人物と同年代の20・30代の女性が共感しやすいと思いますが、年齢・性別関係なく楽しめる一冊です。
合コン場面から始まる展開に、バブル期の名残あるトレンディドラマ系か?とうんざり期待薄弱でしたが、とんでもない、最後までぐいぐい読んでしまいました。
女として男に依存して生きるも、仕事を極めるも自立するも、よくあるトレンディドラマにように単純なステレオタイプでは描かれておらず、どの道たいていは多くを失って希少な一つを得る、という素晴らしくも過酷な現実を5人の女性のエピソードを進行させながら、魅力的に描き出している作品だと思います。
それぞれが個性的ではありますがキャラクターが自己完結しておらず、苦悩と混迷の中で多かれ少なかれ決断をしながら少しずつ変化していくところに現実味があります。
「変わっていく」ところに勇気付けられる作品だと思います。
保険会社に勤める20〜30代の知合いのOL5人の揺れる心を描いている。
男性の私が読んでも、読みやすい印象を受けた。
5人それぞれの葛藤する苦しい心を詳しく深く描いていて、その決意が固まったところ以降は、あまり触れないのが特徴。
そこに焦点をしぼっているように感じた。
ただ、他の4人の物語の中で、ところどころ登場させるところが上手い。
同じ会社にいても男性が見る景色とはだいぶ違うことに気づかされる。
男性には、程度の差,良し悪しは別にしても出世というものがつきまとう。
でも、女性の場合は、会社というものが男社会であることを見切っている。
出世という視点はなく、常に近い将来の自分を見据えて、現在を考えている。
少なくともこの物語に登場した女性達は。
その違いを強く感じた。
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