2014年06月05日

お勧めの小説『女たちのジハード』篠田 節子著

●お勧めの小説『女たちのジハード』篠田 節子著


保険会社に勤める異なるタイプの女性たち。

結婚、仕事、生き方に迷い、挫折を経験しながらも、たくましく幸せを求めてゆく。

現代OL道を生き生きと描く、第117回直木賞受賞作。


とにかく最初から話に引きずり込まれました。

登場する5人の女性のキャラクターが個性的で、それぞれの欠点と矛盾点を指摘したくなる一方で、誰もが一生懸命に生きている姿に共感し、思わず応援したくなります。

読み終わった後(何日もたってから)、架空の物語であるにも関らず、みんな元気でやってるかな、順調に生活しているのかな、とふと思うことがあります。

登場人物と同年代の20・30代の女性が共感しやすいと思いますが、年齢・性別関係なく楽しめる一冊です。



合コン場面から始まる展開に、バブル期の名残あるトレンディドラマ系か?とうんざり期待薄弱でしたが、とんでもない、最後までぐいぐい読んでしまいました。

女として男に依存して生きるも、仕事を極めるも自立するも、よくあるトレンディドラマにように単純なステレオタイプでは描かれておらず、どの道たいていは多くを失って希少な一つを得る、という素晴らしくも過酷な現実を5人の女性のエピソードを進行させながら、魅力的に描き出している作品だと思います。

それぞれが個性的ではありますがキャラクターが自己完結しておらず、苦悩と混迷の中で多かれ少なかれ決断をしながら少しずつ変化していくところに現実味があります。

「変わっていく」ところに勇気付けられる作品だと思います。



保険会社に勤める20〜30代の知合いのOL5人の揺れる心を描いている。

男性の私が読んでも、読みやすい印象を受けた。

5人それぞれの葛藤する苦しい心を詳しく深く描いていて、その決意が固まったところ以降は、あまり触れないのが特徴。

そこに焦点をしぼっているように感じた。



ただ、他の4人の物語の中で、ところどころ登場させるところが上手い。

同じ会社にいても男性が見る景色とはだいぶ違うことに気づかされる。

男性には、程度の差,良し悪しは別にしても出世というものがつきまとう。

でも、女性の場合は、会社というものが男社会であることを見切っている。

出世という視点はなく、常に近い将来の自分を見据えて、現在を考えている。

少なくともこの物語に登場した女性達は。

その違いを強く感じた。










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2014年05月21日

人生の不条理を表した不朽の名作『ペスト』カミュ著

アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。

ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。

外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。


生と死、善と悪、そして神の救済の意味を問うた長編。

かつて熱烈なキリスト教信者であったカミュは、創作を通じて神の存在を問い続けた。


「ペスト」はカミュの作品中、もっとも大きな構想、長いストーリー、たくさんの登場人物を擁した傑作だ。

タルーを始めとする登場人物は、必死に思考し、行動する。

ペストが蔓延した街は封鎖され、ストーリーは一気に加速する。

最後はどうなるのか、読者も惹き込まれる。


テーマはずしりと重いのだが、「ペスト」は娯楽小説としてのクオリティーが素晴らしく高い。

アルジェリアの港町の描写がすばらしくエキゾチック。

このノーベル賞作家の作品中、もっとも大衆的でもあると思う。

そこが特筆すべき点なのだ。


『ペスト』(仏: La Peste)は、アルベール・カミュが書いたフランスの小説。

出版は1947年。


ペストに襲われたアルジェリアのオラン市を舞台に、苦境の中、団結する民衆たちを描き、無慈悲な運命と人間との関係性が問題提起される。

医者、市民、よそ者、逃亡者と、登場人物たちはさまざまだが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助けあいながら立ち向かう。



よく言われるのは、この作品は第二次世界大戦時のナチズムに対するフランス・レジスタンス運動のメタファーではないかということだ。

さらに、実存主義文学の古典とも言われるが、カミュはこのレッテルを嫌っていた。

語り口は、個々のセンテンスが複数の意味を内包し、その一つが現象的な意識および人間の条件の寓意である点で、カフカの小説、とくに『審判』に通じるものがあると言われている。


カミュのアプローチは非情で、語り手である主人公は、自分たちは結局何もコントロールできない、人生の不条理は避けられないという考えを力説する。

カミュは不条理に対する人々のさまざまな反応を例示し、いかに世界が不条理に満ちているかを表している。








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2014年05月12日

科学冒険物語のひとつの完成形『ウバールの悪魔』(シグマフォースシリーズ)

激しい雷雨に見舞われた深夜の大英博物館で起きた爆破事件により、一人の警備員が犠牲になった。

博物館の学芸員のサフィア・アル=マーズ、サフィアの幼馴染みで大富豪のキャラ・ケンジントン、サフィアの元恋人の考古学者オマハ・ダンは、爆破事件がキャラの父の死の謎と関連があると知り、調査のためにオマーンの砂漠の失われた都市「ウバール」へと向かう。

一方、米国の秘密特殊部隊シグマフォースのペインター・クロウ隊長も、爆発の陰に無尽蔵のエネルギーを持つ反物質が存在していることをつかみ、身分を隠してサフィアたちに同行する。

だが、テロ組織ギルドも反物質を入手しようと狙っていた。

ギルドがペインターたちに差し向けた刺客は、ペインターのことを公私ともに知り尽くした人物だった。



GREEN BERET〈グリーンベレー〉、DELTA FORCE〈デルタフォース〉、NAVY SEALs〈ネイビーシールズ〉……米国が世界に誇る最強の特殊部隊。

だが、これらを超える最強の秘密特殊部隊があったその名は、SIGMA FORCE〈シグマフォース〉。

彼らは、殺す訓練を受けた科学者。ジェームズ・ボンドより切れ者で、危険度は2倍。

歴史×宗教×科学のハイブリッド・エンターテインメント!

全米で1300万部以上のベストセラー〈シグマフォース〉シリーズ、待望の原点の物語、遂に発売!


ロリンズの作品は、ある意味、米国の冒険小説やスパイ小説の最終段階ではないかと思えてなりません。

この人が語る世界はどこまでも真実に近いものを、あるいは4,5年したら現実になりそうなものを描き出してくれますので、あぁ、なるほどと感心しつつ読み進めてしまします。

いつも通勤時間に読んでますが、ついでにスマホで知らない地名を検索したり、画像を入手したり、結構楽しめますよ。

クライブカッスラーのイントロに似た過去のある世界から物語が始まるところ、地球規模の考古学、物理学、歴史、政治、宗教等の断片を組み合わせて見事に過去の出来事を再現する手腕等、すごすぎると言いたい。

本当は、日本の作家にもこんな作風の人が出てくることを願ってやまないのですが、どこか中途半端な作品になってしまうんですよね。

まぁ、ブツブツ言ってもしょうがないし、ここはクロウ隊長からピアース隊長へ引き継がれていくシグマの活躍を楽しむことで納得しておきたいと思います。








posted by ホーライ at 05:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 冒険もの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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